排出量報告、カーボンに関する申告、製品の来歴、原産地証明、人権デューデリジェンス。企業は必要な記録を集めていても、受け渡しのたびに確認し直し、形式を整え直し、送り直す作業が残りがちです。
Digit.inkはそのプロセスを自動化します。W3C Verifiable Credentialsを使い、既存の業務フローを変えすぎずに、サプライヤーの申告書、カーボン関連証明、来歴記録、検査結果を、企業間、監査人、通関担当、規制当局のあいだで、メールでの再送や手作業での再確認なしに受け渡せるようにします。
有価証券報告書のサステナビリティ開示、CBAM、GX-ETSは、提出先や手続きこそ同じではありませんが、現場に生じる負担はよく似ています。サプライヤーからデータを集め、根拠を文書化し、下流に渡し、出所を問われたときに説明できる状態を保たなければなりません。
Digit.inkは、提出そのものではなく、その裏付けとなる証憑を整えます。提出システムはそのままで構いません。変わるのは、その下にある根拠資料の扱いです。カーボンオフセット証明書、排出量の証明、サプライヤー申告書、そのほかのサステナビリティ関連記録をVerifiable Credentialsとして発行すれば、顧客、監査人、取引先は、誰が発行したのか、受け取った記録が元の内容から変わっていないかを確認できます。パソナサステナビリティは、すでにDigit.inkを活用して、カーボンオフセットを含む環境価値のデジタル証明書を発行しています。
来歴管理は、たいてい受け渡しの時点で崩れます。工場が持つ記録、検査機関が持つ記録、輸出者が持つ記録がそれぞれ別になり、輸入者が短い時間で突き合わせることになるからです。買い手、通関担当、監査人に届くころには、誰が何を出したのか、根拠資料が欠けていないかが見えにくくなります。
Digit.inkなら、各当事者が次の相手にそのまま検証してもらえる形式で記録を発行できます。原産地証明書、検査記録、サプライヤー申告書を、発行者情報と関連する根拠資料を保ったまま下流に渡せます。これは、EPA原産地証明の手続や、「責任あるサプライチェーン等における人権尊重のためのガイドライン」に沿った運用で重要です。サプライヤーの申告と根拠資料を結び付け、求められたときにすぐ説明できなければならないからです。
デジタルプロダクトパスポート(DPP)は、この課題を製品単位の要件に変えます。とくに欧州向けの製品では、原産地、素材、関連製品データを、サプライヤー、輸入者、顧客、当局のあいだで、その都度作り直さずに受け渡せる形で持つ必要が出てきます。
Digit.inkは、そのためのクレデンシャル基盤を提供します。Verifiable Credentials、分散型識別子(DID)、そしてサプライチェーンを移動しても意味が変わらない記録を支えるオープンな規格です。DPPを見据えた運用を進める企業にとって、Digit.inkはその土台になります。
Digit.inkは2021年から、Verifiable Credentialsの発行基盤を本番運用してきました。プラットフォームの発行アカウント数は23,900を超え、16カ国以上で利用されています。日本では、日本航空に加え、秋田県、宮城県、愛媛県の指定発行者が、行政に認められた資格証明の発行にDigit.inkを使っています。
技術面では、W3C Verifiable Credentials、Open Badges、分散型識別子(DID)を基盤としています。すべてオープンな規格であり、ベンダーロックインはありません。当社のクレデンシャルは、対応するブロックチェーンやPKIに記録でき、第三者がいつでも独立して検証できます。